Computer & RF Technology

ADS-B用1090MHzフィルタ&プリアンプのキット化

ADS-B用のSAWフィルタ付きプリアンプを試作して、キット化に向けてテストしていました。当初は8月に案内する予定だったのですが、アンプの比較等をしてみました。

最初に使っていたアンプが、Gp=24dB, NF=3.9dBのBGA2817だったのですが、これをNF=1.9dBのものに取り替えてみたり、ゲインが大きいものに変えてみたりして効果を見ました。アンテナはドングル付属のもののままADS-Bの受信性能を比較してみました。その結果を定量的には示せないのですが、

  • ゲインは30dBあると明らかにメッセージ数が落ちる。20dB程度のほうが良いようだ。
  • NF良好なチップではわずかに改善が見られた

写真のように3品種を試して比較しただけですが、Gp=22dB, NF=1.9dBのBGA2748を使うことにしました。他にもアジレント等のチップを入手しているのですが、入力のマッチングの検討と試作が面倒で、今回は作業しませんでした。

最終的には200Nm超えのポジションレポートが時々得られるという状態になりました。欧州方面への日本海をロシア上空に向かうルートや、北米からやってくるオホーツク海あたりのレポートが時々見えます。

2ヶ月ほどのあいだ、アンテナとプリアンプを屋上に上げて動作させていたのですが、雷雨の時にトラブルが生じました。最初はアンプのICが不良になったのかと思ってチップを交換してみたのですが改善せず、SAWフィルタを交換したところ復活しました。SAWフィルタは電極が非常に微細な加工で作られており、ESDに弱いということです。恥ずかしながらこのことを知らず、フィルタとアンテナ直結で回路を作っていたのですが、これでは夏の雷雨には耐えられなかったようです。劣化の状態としては、フィルタの通過特性の形はそのままに、全体が-30dBほど低下する状態になっていました。

この対策として気休めですが入力をLでGNDに落とすようにしました。アンテナ給電することもあるかとちょっと余分に作ってあったパターンを流用しています。組立説明書をキットのページに掲載していますので、詳細はそちらをご覧下さい。

プリアンプですが、付属アンテナで試した限りでは、効果があるようです。いろいろな環境で試してみていただきたいので、若干数のキットをβ版として頒布します。ご希望の方は頒布要領のページをご覧になり、ご連絡ください。もし希望が多数あれば継続してキットを作成したいと思います。

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