[この記事は当初はPAL端子にアンテナをつなぐ方法を書くつもりだったのですが、ドングルを壊してしまったようなので、先にこの件を書きます。]
gnuradioが使えるようになったので、放送波だけでなくいろいろ受信してみようと、RTL2832Uドングルに外部アンテナをつないで、いろいろ試していました。ところが二日目にして、なんだか調子が悪くなったことに気がつきました。実験を始めた最初にくらべて、明らかに感度が下がっています。
はじめは付属品の室内小型アンテナで放送波はバリバリ受信できていたのですが、いまはかろうじて受信できる程度です。アマチュア無線やエアバンドはほとんど聞くことができなくなってしまいました。
不調になる前は、FM放送波をこんな感じで受信できていました。キャリアとその両側のステレオパイロット信号がすくっと立っているのが見えています。
ところが、不調になった後は、こんな感じで非常にS/Nが悪くなっています。
まったく受信できなくなったわけではなく、非常に感度が悪い状態です。近くでハンディトランシーバで送信してみるとそれなりに受信はしますが、交信電波を受信するのは全く無理な状態です。
外部アンテナをつないでから一日二日使えていたのですが、思い出してみると日曜の深夜に雨が降って雷が鳴っていたあたりから不調になった気がします。
ドングルのフタを開いてみました。ちょっとこじると簡単に開きます。基板を観察したところ、アンテナとチップの間にはほとんど回路らしい回路はありません。コンデンサだけが挿入されているようです。
参考にさせていただいているブログのこちらの記事にチューナチップE4000のリファレンス回路図へのリンクが掲載されていたので、確認したところ本来はESD保護ダイオードが入るはずのようです。よく見るとそれらしいランドがあります。Webで見つかるドングル基板写真を見ると、それらしい黒いチップが挿入されているものがあります(赤枠)。
残念ながら手元のドングルは、保護ダイオードが省略されたものだったためチップとアンテナは100pのコンデンサだけで直結された状態でした。そこに屋外に設置した外部アンテナ(高さ7m)を接続した(しかも悪天候時)のですから、チップはひとたまりもありません。購入時に安価なものを選んだのが裏目に出たのかもしれません。
本来は付属品の小型アンテナをつなぐ端子だったわけですから、ここに外部アンテナを繋ぐのは本来の使用方法ではないとも言えます。RTL2832Uドングルに外部アンテナをつなぐ場合には、Diが入っていることを確認し、もし入っていなかった場合には適当なLなどの素子でGNDに落とすようにすると良いと思います。または、アンテナ端子の手前にHPFを入れる(通常DCはGNDに落ちている)のも手だと思います。PCの安全を考えれば、イーサネットのように、トランスを介してPCとアンテナは電気的に分離したいところです。
壊してしまったものは仕方がないので、新しいのを手配するために注文しなおしました。今度は写真で見てDiが載っているものを選んでみました。ということで新しいのが到着するまでしばらくRTL2832Uの実験はお預けです。
次はPAL型コネクタに同軸をつなぐ方法です。
RTL2832UドングルはPALコネクタで、手持ちにはコネクタの用意がありませんでした。そのため同軸の芯線と網線をコネクタにそのまま突っ込んで仮接続していました。
こちらのブログでPAL-F変換コネクタは販売されていることを教えて頂きました。でもこれから調達するのは時間がかかってしまいます(1500円のドングルに500円+送料でFコネクタを買うことに躊躇いもありました)。そこで付属アンテナのコネクタを利用してSMAに接続してみることにしました。
コネクタの先端を強引に毟ると本体を外せました。ちょっと変形しましたが、形を保っているのでなんとか使えそうです。
これにSMAメスアングルコネクタを適当に取り付けます。
見かけは悪いですがなんとか繋がります。
アングル型なのでこんな使い方もできます。ハンディ機用の小型ホイップアンテナをSMAに差しています。
もちろん同軸もつながります。ちゃんとしたコネクタを入手するまではこれでしのぐことにします。
[追記:感度が悪くなったという現象と、加工したコネクタをドングルに差したことを考えあわせると、無理な力が加わってクラックが入ったのではないかと疑いました。念のため端子周辺と近くのチップに半田ごてを当ててみたのですが、改善しませんでした。上に書いたように当時の天候と保護が無い実装だったことを考えて故障と判断しました]