RTL2832Uドングルは驚くほどの広い周波数範囲をカバーするのですが、HF帯以下が外れてしまっているのが残念なところです。HFやMFを受信するには、これまで実験していたようにドングルに若干の改造をしたうえで、ダイレクトサンプリングモードを使用することで受信することが可能です。この方法は費用はかからないのが良いのですが、細かな部品が使われている基板を改造することは普通の人にとって敷居が高いと思います。
もう一つの方法は、HFの信号を、RTL2832Uドングルが扱うことのできる周波数まで変換することです。そのためのコンバータが既に製作されており、いくつかはWebに公開や頒布されていたり、一部は販売されているものもあるようです。(記事後半参照)
RTLドングルについてWebで情報を探していたとき、ちょうどコンバータを試作されてようとしているblog記事を見つけました。
アップコンバーター1台目完成 (The End Of Civilization)
シンプルに水晶発振モジュールとDBMにより、HF帯の信号を、RTLドングルがカバーする周波数に変換する仕組みです。DBMについて具体的な品番が記載されていたので、探してみたところ普通に入手できることがわかりましたので、さっそく発注してみました。
DBMを注文している間にさくっと回路とレイアウトの検討もしてみました。ちょっと懸念だったのは、水晶発振モジュールからDBMを直接ドライブするには負荷が重すぎるのではないかということです。先例を見ると直接ドライブしている例が多いようです。水晶発振モジュールは10pF程度の負荷が想定されているようですが、50Ωは厳しいのではないかという気がします。ここでは、小さなチップタイプの水晶モジュールを使うことを考えてバッファを入れるようにしてみました。バッファはロジックICを使ってみます。実験結果次第で、バッファをスキップすることにします。アップコンバージョンで使うので定石通りDBMはIF/RFを反対にして使います。
という感じで、図面を引いたのがこれです。最初に上記のBlogを見つけたその日に、こりゃ良さそうだとその日の内に勢いでやりました。30mmx40mm程度のサイズです。電源はUSB。バッファは74AHCU04の想定です。5Vが使える水晶モジュールのつもりですが、3V程度の仕様の製品が多いのでレギュレータを入れられるようにした方がいいかもしれません。
すぐにでも基板を発注する勢いだったのですが、その後ダイレクトサンプリングの実験を始めてしまったので、コンバータはしばらく寝かせています。その後、いくつかRTLやFCD用のコンバータの設計例を見つけたので、まずは一度整理しておこうと思いこのメモを書いています。もうちょっと先人の例を参考に見直しをしてから、基板発注してみようと思っています。
- FunCube Dongle用のコンバータとしての製作例、解説付き。https://www.george-smart.co.uk/wiki/FunCube_Upconverter
- こちらの実装では切替えリレーが載っています。またサイトでは販売もされているようです。サイトには旧バージョンも掲載されており、設計の進化が見えて面白いです。https://www.ct1ffu.com/site/hf-converter.pdf
- Ham Radio ScienceのサイトでもHFコンバータの評価を記事にしています。https://www.hamradioscience.com/ham-it-up-hf-converter/
- 上記はopendousというところ設計のようです。かなり真面目な評価と検討をし、それを公開していて興味深いです。この実装にはスルー切替SWがあるのですが便利かもしれません。また、ノイズソースを組み込んでいたりと、とても面白いです。https://code.google.com/p/opendous/wiki/Upconverter
- 最初に記事を見つけたblogでは、その後良い結果が出たようなので、是非こちらでも試してみなければと思っています。https://awaitingstock.wordpress.com/2012/10/31/mini-circuits-rms-5lh/
- 部品数も少なくちょうど良いくらいなので、興味がある方がいるならキット化してもいいかなと思っています。
- とっくにDBMは手元に到着しているのですが、未だ手をつけることができていません。時間に余裕ができたらやってみます。