Computer & RF Technology

DSO-QUADをアップデートして代替オシロアプリと周波数特性測定を試してみる

DSO QUADは手のひらに乗るハンドヘルドオシロスコープです。バッテリで稼働するLCDディスプレイと、アナログ入出力が付いたスマホサイズの小型ハードウェアです。面白そうだと思って、発表された当初にSeeedStudioから購入していました。ただ、買ってはみたものの、オシロとしては使い勝手がイマイチだったのでほぼ放置になっていました。購入したのは2011年の春でしたので、既に3年も経過していましたが、その後ファームがアップデートされていたり、いろいろな追加アプリケーションが出ているようでしたので、今回久しぶりに試してみました。

回路図や設計情報はオープンソース(CC BY-SA 3.0)として公開されています。アプリを追加することが可能になっており、有志がさまざまな実装を提供してくれています。今回、エアーバリアブルさんのブログで、周波数応答計測アプリがあることを知って、試してみることにしました。

作業前にハードウェアとソフトウェアのリビジョンを確認しておきます。ハードウェアはVer 2.6, ソフトウェアはSYS=Ver 1.34、APP=Ver 2.35でした。

ファームアップデートは、USBで接続してから、〓ボタンを押して電源を投入するとマウントされるファイルシステムにファイルをコピーすることで行います。サイトの情報によると、Mac OSXではファームアップデートがうまくいかないようなので、Windowsから作業しました。

サイトから、FPGAやSYS、アプリの各ファイルをダウンロードし、一つずつ順番にコピーしていきます。一つコピーするたびに再マウントされます。

アップデートの結果、SYSは1.52,アプリは2.53になりました。

今回はサードパーティのアプリを入れてみました。まずはGaboさんのオシロアプリです。ボタンを押しながら電源を入れて起動する必要があります。

アプリが立ち上がると、メニュー画面で、オシロの他FFTやシグナルジェネレータを選べます。

オシロを選んでみたところ。なかなか使い勝手は良さそうです。シグナルジェネレータも常時動作しているので、直結するとその信号が見えます。

シグナルジェネレータ

他に三角波やノコギリ波、方形波などいろいろ選べます。

FFT機能はSpectrum Analyzerという名前になっています。表示はいくつか選択でき、スペクトラムだけではなく波形の同時表示やウォーターフォールも可能です。

続いて別のサードパーティアプリである周波数応答測定も試してみます。先ほどと同じようにアプリ選択ボタンを押しながら電源を入れて起動すると、いきなり測定開始です。設定も何も無しでシンプルです。

まずは直結の場合です。振幅はほぼフラット。位相が100kHz付近から回っていますが、処理遅延の影響でしょうか。

続いて何か測定対象をということで、小型トランスの特性を取ってみました。SANSUIのST-32です。全体にレベルが巻線比分下がっています。周波数特性は、100Hz以下、10kHz以上でダレているのがわかります。100kHz付近で位相が回るのはDUTの特性ではありません。

こんな感じで、小型の本体から信号の入力、出力が可能で、簡便に計れます。

オーディオ帯域の簡易的な測定には便利に使えそうです。

他にロジックアナライザもあります。USBプロトコルの解析も行えるそうです。引き続き活用してみたいと思います。

リファレンス

おまけ

DSO QUADの中身は、MCUはSTM32F103VCT6、FPGAとしてLatticeのICE65L04Fを経由して、ADCとしてアナデバのAD9288-40を接続しています。LCDは3インチ240x400のILI9327を使ったものです。ハードウェアとしては汎用ですので、あとはソフトウェアでSDRな受信機等も作れると思います。そのつもりで買ってみたのですが、アイデアだけでまったくの積みハードとなってしまってます。いつかチャレンジしたいです。

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